2010年6月5日土曜日

肩車と愛子 ー その(2)

(弊ブログ 2009年9月「小柳ルミ子紀行 肩車と愛子」からの続きです。)

                        ☆
            ☆
  ☆

「ずーっと先の話しだけど、ルミ子がこの川を渡る時にも 肩車をしてあげてね」

「ルミ子は そこの飛び石を 自分でピョンピョン 跳んでゆきそうだけどな」

「ルミ子は 肩車をして欲しいのよ お父さんに」

「ウン 分かった」

「ありがとう あ そうだ 忠士さんはどこ?」

「忠士は 飲み屋のツケを遺したから 面目なくて 向こうに隠れているんだ」

「ホホ そんなこと気にしなくて良いのに ルミ子のお父さんだもの
ルミ子がスターの階段を昇るたびに 祝杯を挙げてたんでしょう」

   ♪  いつだって あなたは 口数も少なくて
      わたしの 我が儘をきいてくれてたわ

      もう遅い 遅いけれど あなたに伝えたいのよ
      あんなに素敵な日々を ほんとにありがとう  ♪

         (小柳ルミ子<風よ伝えて>より)

彼岸に着いた

愛子は 光義の肩車から 降り
ルミ子のいる此岸を振り返った

「ルミ子 強く 生きるのよ」

ルミ子が楽屋の電話から唄い贈る<瀬戸の花嫁>は もう 聞こえて来ない
舞台に立ったのだろう

「ここからは ひとりで」
愛子はうなづくと ひとりで 歩き出した

父母の待つ
遠い輪廻の光に向かって

   ♪  いつの日か いつの日にか
      風よ あなたに伝えて 
      あんなに優しい愛を ほんとにありがとう  ♪

   ☆
            ☆
                     ☆

唄ってよ 愛の歌を
踊ってよ 天使のように

   by 柘植信彦

0 件のコメント:

コメントを投稿