2010年4月24日土曜日

唄ってよ もう一度

ルミ子は自著「私の半生記」のなかで、次のように述べている。

(子供の頃)「歌うことは大好きでした。ザ・ピーナッツさんや弘田美枝子さん、坂本九さんの歌をよく歌っていました。ポップス系が好きでした。自分で振りをつけて、友達や母の前で歌っていましたっけ。」

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窓を開けた
冷たい風が 吹き込んで来た
暗がりの中 真下に灰色の舗道が 小さく見える

「この苦しみを終わらせたいの お母さん ごめんなさい」

その刹那 どこからか 木琴のトレモロとともに
<上を向いて歩こう>が聞こえて来た

  ♪  上を向いて 歩こう
     涙が こぼれないように
     思い出す 春の日
     一人ぼっちの夜  ♪

小学生の頃 大好きだった曲だ

上を向いてみた
夜空に無数の星が見える

  ♪  上を向いて 歩こう
     にじんだ星をかぞえて
     思い出す 夏の日
     一人ぼっちの夜  ♪

坂本九の笑顔が 星空に浮かんだ
(坂本九は、1985年日航123便墜落事故により、帰らぬ人となる)

九の笑顔の周りに 大勢のファンの笑顔が 見えた
たくさんの瞳のひとつひとつに 自分の姿が映っている
自分の瞳には ファンの笑顔が映っているのか

  ♪  悲しみは 星のかげに
     悲しみは 月のかげに

     上を向いて 歩こう
     涙が こぼれないように
     泣きながら歩く
     一人ぼっちの夜   ♪

もう30年以上前になるだろうか
日比谷公会堂での ファンとの約束を思い出した

「初心を忘れないで 一生懸命に唄うことが
 皆様へのただ一つの 恩返しだと思います」

この時 初めて <瀬戸の花嫁>を唄ったのだった

不幸では 泣かない
幸せ過ぎる時 泣くのだ

苦しかった胸の鉛が 消えていった

「もう一度 生き直そう」

窓を閉じた

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誓いあったはずの愛を失うことは、耐え難い衝撃であっただろう。
しかし、人は ”使命” を識った時から、また人生が始まるという。

人には各々、使命があるのかもしれない。
自分の使命とは、なんなのだろうか。

唄ってよ 愛の歌を
唄ってよ もう一度

   by 柘植信彦

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