ルミ子は自著「私の半生記」のなかで、次のように述べている。
(子供の頃)「歌うことは大好きでした。ザ・ピーナッツさんや弘田美枝子さん、坂本九さんの歌をよく歌っていました。ポップス系が好きでした。自分で振りをつけて、友達や母の前で歌っていましたっけ。」
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窓を開けた
冷たい風が 吹き込んで来た
暗がりの中 真下に灰色の舗道が 小さく見える
「この苦しみを終わらせたいの お母さん ごめんなさい」
その刹那 どこからか 木琴のトレモロとともに
<上を向いて歩こう>が聞こえて来た
♪ 上を向いて 歩こう
涙が こぼれないように
思い出す 春の日
一人ぼっちの夜 ♪
小学生の頃 大好きだった曲だ
上を向いてみた
夜空に無数の星が見える
♪ 上を向いて 歩こう
にじんだ星をかぞえて
思い出す 夏の日
一人ぼっちの夜 ♪
坂本九の笑顔が 星空に浮かんだ
(坂本九は、1985年日航123便墜落事故により、帰らぬ人となる)
九の笑顔の周りに 大勢のファンの笑顔が 見えた
たくさんの瞳のひとつひとつに 自分の姿が映っている
自分の瞳には ファンの笑顔が映っているのか
♪ 悲しみは 星のかげに
悲しみは 月のかげに
上を向いて 歩こう
涙が こぼれないように
泣きながら歩く
一人ぼっちの夜 ♪
もう30年以上前になるだろうか
日比谷公会堂での ファンとの約束を思い出した
「初心を忘れないで 一生懸命に唄うことが
皆様へのただ一つの 恩返しだと思います」
この時 初めて <瀬戸の花嫁>を唄ったのだった
不幸では 泣かない
幸せ過ぎる時 泣くのだ
苦しかった胸の鉛が 消えていった
「もう一度 生き直そう」
窓を閉じた
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誓いあったはずの愛を失うことは、耐え難い衝撃であっただろう。
しかし、人は ”使命” を識った時から、また人生が始まるという。
人には各々、使命があるのかもしれない。
自分の使命とは、なんなのだろうか。
唄ってよ 愛の歌を
唄ってよ もう一度
by 柘植信彦
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